緑内障とは

何らかの原因で視神経が傷害され、視野(見える範囲)が狭くなる病気で、眼圧の上昇がその原因の一つと言われています。目の中には、栄養を運ぶ役割をしている房水が流れているのですが、房水の作られる量と流れ出る量のバランスが崩れた時に眼圧が上昇します。

今では、40歳以上の方の17〜18人に1人が緑内障になっています。
見える範囲が狭くなった、視界が見えづらいなどの症状がある方の他、ご家族に緑内障になった人がいるという方は、定期的に検査を受けるようにしましょう。

緑内障の見え方イメージ

初期

初期

眼の中心をややはずれたところに暗点(見えない点)ができます。
自分自身で異常に気づくことはありません。

中期

中期

暗点が拡大し、視野の欠損(見えない範囲)が広がり始めます。
しかし、この段階でも片方の眼によって補われるため、異常に気付かないことが多いようです。

後期

後期

視野(見える範囲)はさらに狭くなり、視力も悪くなって、日常生活にも支障を来すようになります。
さらに放置すると失明に至ります。

緑内障の種類

緑内障になると、強い近視がある、糖尿病、高血圧、見える範囲が狭くなった、視界の一部が見えづらいなどの症状が現れます。
また、緑内障は症状によって種類が分かれます。その症状ごとに最適な治療を行っていきます。

開放隅角緑内障

一般的に多い緑内障は「開放隅角緑内障」と呼ばれています。ほとんどの場合の開放隅角緑内障は、眼圧の上昇が軽度な慢性緑内障です。視野障害の進行なども通常はゆっくりです。

閉塞隅角緑内障

閉塞隅角緑内障は、房水の出口である隅角が閉塞するために、急激に眼圧が上がることがあります。治療が遅れてしまうと短期間で失明に至る恐れがあります。

発達緑内障

生まれつき隅角に異常がある緑内障です。生まれた直後から眼圧が高い場合、眼球そのものが大きくなることもあります。乳幼児から若年齢時に緑内障を診断されることが多いですが、乳幼児の緑内障は急速に悪化して、眼球拡大が進行することで、眼圧がコントロールされたとしても視機能が著しく障害されてしまいやすいので、早期な手術が必要になります。

続発緑内障

予め、眼や全身に何らかの病気があり、それが原因で眼圧が上昇し起こる緑内障です。解放隅角の場合もあれば、閉塞隅角の場合もあります。原因は様々ですので、正確にその病気を把握し、原因からきちんと治療していくことが大切です。

治療法の仕組み

緑内障は自覚症状がほとんどないために、早期発見・早期治療が必要になります。一度、障害を受けた視神経は元に戻せないために、これ以上の病気の進行を抑えることが重要になります。
現在、緑内障の治療は、眼圧を低下させる薬剤を投与するのが第一選択とされていますが、薬剤でも眼圧が低下しない場合には、レーザー治療や観血的手術が行われています。
観血的手術の中でも代表的なのが「線維柱帯切除術(トラぺクレクトミー)」であり、眼内の房水を眼外に流出させるために線維柱帯に流出経路を作成することで眼圧を降下させ、視力を維持するための手術として行われていますが、ここに「アルコン エクスプレス 緑内障フィルトレーションデバイス」を用いた手術が加わることで、緑内障に対する治療の幅がさらに広がります。

点眼

点眼治療

通常の治療では点眼治療が主になります。
緑内障で失った視野を元に戻すことはできないため、視野の欠損の進行を抑える必要があります。そのために、点眼薬で上昇した眼圧を下げて、視神経への圧力を軽減させる点眼治療を行います。
患者様の状態によっては、内服薬を使用する場合もあります。

レーザー治療

レーザー治療

点眼治療を行っても眼圧が下がらない場合には、レーザー治療を行います。
レーザー光線で虹彩の根部に小さな穴を開け、新たに房水の通り道を作ります。
レーザーでの治療は短時間で終了し、術後の日常生活への制限もほとんどありません。

観血的手術

観血的手術

点眼治療、レーザー治療を行いながらも、眼圧が下がらない・視野が狭くなっている場合には、観血的手術を行います。当院では、主に「線維柱帯切除術」を用いて手術を行います。

手術の流れ

手術前検査
問題なく手術を行えるかを調べたり、白内障手術の場合は患者さまの眼にあった眼内レンズを選んだりするために、手術前にいくつかの検査が必要です。
通常の視力、眼圧の検査のほか、角膜内皮、血圧、血液検査、心電図(必要な方のみ)、散瞳検査(指示がある方のみ)、眼内レンズ関連の検査(白内障手術の場合)などを行います。検査の所要時間は2~3時間ほどです。
手術3日前
感染予防のために、処方された点眼薬を開始します。
手術当日
受付
おひとりが不安の方は付き添いの方とご一緒にお越しください。

手術前の視力検査・診察
手術前の処置、および担当医師による診察を行います。

手術
休憩(約30分)
リカバリー室でお休みいただきます。
お会計
会計後、翌日の診察時間などを確認し、ご帰宅となります。

手術翌日
担当医師による診察を行います。